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前年度の研修詳細
● 概要
研修名 現任職員(3部)研修
目標 より住民に信頼される職員となるよう、改めて公務員としての倫理観を醸成する。また、自治体職員に必須の政策法務について学ぶとともに、自身の健康管理とコミュニケーション能力を高める。
計画人員 170人
受講者数 158人
対象者 原則として、採用後12・13年を経過した職員
実施期間 3日間
第1日程:平成30年10月22日、平成30年10月29日、平成30年11月1日
第2日程:平成30年10月23日、平成30年10月30日、平成30年11月2日
研修会場 滋賀県市町村職員研修所(大津市)
センター締切日 平成30年9月19日
● スケジュール
科目名 方法 開始時間 終了時間
1日目 政策法務概論 講義  9:30 12:30
昼食・休憩 12:30 13:30
レジリエンス(心のしなやかさ・回復力) 講義・演習 13:30 16:30
2日目 公務員倫理(JKET) 講義・討議・演習  9:30 12:15
昼食・休憩 12:15 13:15
公務員倫理(JKET) 講義・討議・演習 13:15 16:30
3日目 コミュニケーション(交渉力・折衝力向上) 講義・演習  9:30 12:30
昼食・休憩 12:30 13:30
コミュニケーション(交渉力・折衝力向上) 講義・演習 13:30 16:30
閉講式 16:40 16:50
● 科目詳細
政策法務概論
【第1日程(10/22):講師 関西学院大学 大学院司法研究科 教授 曽和 俊文 氏】

1 政策法務とは何か、最近になってなぜ強調されてきているのか、を学ぶ
 1)自治体行政の基本は、法律・条例に基づく行政である
 2)政策法務が強調されてきた背景事情
  ・地方分権の推進
  ・現実と法制度のギャップを埋める工夫……現場の課題に応える
  ・住民参加の進展と政策法務
 
2 政策法務の具体例を先進自治体に学ぶ
 〜地域のどのような課題を解決するために、どのような検討をしてきたのか〜
  ・京都市や野洲市やそのほかの自治体が最近制定した政策的な条例を紹介、検討する。
 
3 条例と法律の関係についての法律問題の概略を学ぶ
 1)法律と条例の関係(1)一般的基準
  ・憲法、法律、条例の関係
  ・地方自治法2条第11項、12項、13項
  ・徳島公安条例事件最高裁判決
 2)法律と条例の関係(2)具体的分析
  ・パチンコ店建築等規制条例の場合
  〜適法とされた例と違法とされた例の比較検討を通じて、
                     法律と条例の関係について、具体的に学ぶ〜


【第2日程(10/23):講師 滋賀大学 客員研究員 提中 富和 氏】

 政策法務は、2000年地方分権改革により廃止された機関委任事務の体制のもとで国法の執行が自治体の法務であるとされるなか、国法の全国画一的なやり方では地域住民の真の豊かさを実現できないとして、地域最適な政策の実現を目指すために構想されてきたものであり、自治体の法務の改革運動でもある。そこでは、法というものを、政策そのもの(政策の公示形式)あるいは政策実現のための手段としてとらえる発想をするが、こうした思考は、本来の「法」や「法務」のあるべき姿である。
 本研修では、自治体が国法の執行を担うなかで培われてきた旧来の固定観念や既成概念を払拭し、とかく「難しいもの」と敬遠されがちな「法」というものを、ものの道理に立ち返って理解を進めながら、特に条例制定についての理解を深めることとする。研修は以下のように進める。

 1  条例を含めて行政法は政策法である、その行政法というものを問い直してみる
  ・ 行政法の立法の意味
  ・立法は公益を決定するもの
  ・行政法の体系的な理解

 2  「法」と「法務」というものを再考する
   ・法は「何のためか」を問い直す思考法
   ・法務は「自分の頭で考える」思考回路
   ・「法律に強い」職員とは?
   ・ 法は抽象化と具体化を行き来する論理思考
   ・政策法務は現場から発進する
   ・政策法務のPDCAサイクルは縦横無尽に回る

3  条例制定権についての地方分権的な思考を確認する
   ・条例の立法権は国民からの信託
   ・ 2000年地方分権改革による条例制定権の拡大
   ・条例の法令違反論議を問い直す
   ・「法令による義務付け・枠付けの見直し」を改めて考える

4  条例づくりのノウハウを把握する
   ・条例づくりのプロセス
   ・条例で用いる行政手法
   ・条例づくりの事前・事後の評価
   ・条例の組み立て

5  実際に制定された条例から学ぶ
   いわゆる「ごみ屋敷」対策のための条例 大阪市の場合と京都市の場合


 
レジリエンス(心のしなやかさ・回復力)
1.こころの仕組みと感情のコントロール
  ・セルフケアの基礎知識
  ・こころの仕組み
  ・認知の傾向チェック
  ・ネガティブ循環を断ち切るために

2.ストレスフルな状況におけるこころや身体の変化を学ぶ
  ・自律神経系の構造を理解する
  ・他者との関わりに重要な社会神経系迷走神経とは
  ・生理的反応を知りこころの対応領域を拡げる
  ・レジリエンス(こころのしなやかさ・回復力)とは

3.自分でできるサイコセラピー(心理療法)
  ・身近なサポートとしてのTFT(思考場療法)とは
  ・気持ちに寄り添う
  ・経絡とツボ
  ・TFTアルゴリズムの基本形を学び、不安やストレスに対応する
  ・TFTを実践してみる(ペアワーク)
  ・さこつ呼吸法を使い落ち着きを取り戻す
  ・うつの悪循環からの回復5つのアプローチ
  ・職場や地域に支援の輪をひろげる

4.振り返り・まとめ・質疑応答


 
                                 キャリアマネジメントコンサルティング株式会社 講師 笠置 佳央 氏
公務員倫理(JKET)
第1章 倫理とは
 ・公務員倫理を考えるに当たって
 ・あなたはどう行動しますか

第2章 公務員に求められる倫理
 ・公務員に寄せられる批判
 ・公務員の意識
 ・公務員に求められる倫理
 ・とるべき態度
 ・できないのは何故か

第3章 公務員に求められる規律
 ・服務規程では
 ・なぜ不祥事を起こすのか
 ・事例研究
 ・なぜ誘惑に負けるのか

第4章 実際の場面で
 ・ロールプレイ

第5章 望ましい職場風土の形成
 ・部下の告発
 ・高め合う規律、原点に立ち返って
 ・実践の決意

※JKET・・・人事院討議式研修「公務員倫理を考える」

 
県内市町職員(内部講師)
コミュニケーション(交渉力・折衝力向上)
1.交渉に対する基本知識
  ・交渉とは何か(定義・パターン・イン/アウトバウンド)
  ・交渉者に求められる力(メンタル・スキル・テクニック)
  ・交渉場面での心がまえ(相互利益の確保・人間関係を基盤・意図、目的への先導)

2.交渉の進め方
  ・交渉の展開
  ・交渉準備の実際
  ・対話の展開、5つのテクニック

<演習>交渉トレーニング・交渉対話

3.リスニングとリプライ
  ・全身傾聴でのリスニング
  ・リプライとは何か(リプライの種類と方法)
  ・聴取の質問、攻撃の質問

4.力強さを加える説得スキル
  ・人が動くメカニズム
  ・人間心理を知る
  ・説得の代表手法

<演習>説得トレーニング

5.実践的な交渉テクニック
  ・全体方針としてのテクニック
  ・次の一手を有利に進めるテクニック
  ・英断を迫るテクニック

<演習>交渉トレーニング準備、総合・全体演習

6.さらに対人能力を高めるために
  ・日常生活に学ぶ
  ・交渉の条件習得に努める
  ・話すことに責任を持つ


 
                                 株式会社話し方教育センター 専任講師 袖山 直之 氏
● 総括
受講者の主な意見(受講者数 158名)
【政策法務概論】
曽和講師
・正直難しい話であったが、仕事をしていく上で、知っておくべきものであり、それを根拠にしながら活用していく重要性については、裁判の事例などから理解できた。
提中講師
・「条例を使いこなすことが重要である」「条例がなければ作ればいい」という言葉が印象的だった。
・大学の講義のような感じであったが、実務を長年されてきた方の講義で条例の大切さがよく分かった。

【レジリエンス(メンタルタフネス)】
・具体的なメンタルヘルスの方法を教えていただいたので実践しようと思う。
・辛いこと、嫌なことを無理にでも前向きに捉えることで、随分と気持ちが楽になることが体感できた。

【コミュニケーション】
・相手との交渉には準備(情報収集)が大切であること、交渉時には、交渉可能領域、代替案、限界値を考えることを学んだ。是非実践していきたい。
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