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前年度の研修詳細
● 概要
研修名 現任職員(3部)研修
目標 より住民に信頼される職員となるよう、改めて公務員としての倫理観を醸成する。また、自治体職員に必須の政策法務について学ぶとともに、自身の健康管理とコミュニケーション能力を高める。
計画人員 190人
受講者数 149人
対象者 原則として、採用後12・13年を経過した職員
実施期間 3日間
第1日程:平成27年10月22日、平成27年10月23日
第2日程:平成27年10月27日、平成27年10月28日
第3日程:平成27年10月29日、平成27年10月30日
研修会場 滋賀県市町村職員研修所(大津市)
センター締切日 平成27年9月11日
● スケジュール
科目名 方法 開始時間 終了時間
1日目 政策法務概論 講義  9:30 12:30
昼食・休憩 12:30 13:30
メンタルタフネス 講義・演習 13:30 16:30
2日目 公務員倫理(JKET) 講義・討議・演習  9:30 12:15
昼食・休憩 12:15 13:15
公務員倫理(JKET) 講義・討議・演習 13:15 16:30
3日目 選択科目(コミュニケーション/リーダーシップ/コーチング) 講義・演習  9:30 12:30
昼食・休憩 12:30 13:30
選択科目(コミュニケーション/リーダーシップ/コーチング) 講義・演習 13:30 16:30
閉講式 16:45 17:00
● 選択科目
科目名 日程 方法 定員
コミュニケーション 平成27年11月4日 講義・討議・演習 70名
リーダーシップ 平成27年11月5日 講義・討議・演習 70名
コーチング 平成27年11月6日 講義・討議・演習 70名
● 科目詳細
政策法務概論
地域の課題解決や住民のニーズを踏まえた政策を実現するために必要となる法令解釈能力、条例制定能力の考え方を学ぶ。

1 政策法務とは何か、最近になってなぜ強調されてきているのか、を学ぶ
 1)自治体行政の基本は、法律・条例に基づく行政である
 2)政策法務が強調されてきた背景事情
  ・地方分権の推進
  ・現実と法制度のギャップを埋める工夫……現場の課題に応える
  ・住民参加の進展と政策法務

2 政策法務の具体例を先進自治体に学ぶ
 〜地域のどのような課題を解決するために、どのような検討をしてきたのか
  そして、それは成功したのか〜
 1)水道水源保護条例の制定秘話
 2)国立市マンション事件の教訓
 3)パチンコ店建築等規制条例をめぐる法律問題

3 条例制定をめぐる法律問題の概略を学ぶ
 1)法律と条例の関係(1)一般的基準
  ・徳島公安条例事件最高裁判決
 2)法律と条例の関係(2)具体的分析
  ・水道水源保護条例の場合
  ・パチンコ店建築等規制条例の場合
         適法とされた例と違法とされた例の比較検討
 3)条例の実効性確保の諸手段
  ・刑罰と過料
  ・司法的執行
  ・制裁的公表、その他の手段
 
関西学院大学大学院司法研究科 教授 曽和 俊文 氏
メンタルタフネス
1.メンタルヘルスの現状    〈職場におけるストレスについて考える〉
(1)メンタルヘルスに関する調査結果
(2)職場の現状を考える
      【ワーク】 自分の職場で心身の健康管理について気になっていることを考える
(3)メンタルヘルスへの組織の取り組み
 
2.ストレスの要因とストレス反応    〈自分にとってのストレス要因を認識する〉
(1)ストレスの要因
(2)自分にとってのストレス要因を整理する
      【ワーク】 自分にとってのストレス要因を整理する
(3)ストレスの程度と仕事への影響
(4)うつ病になった人への対応方法
      【参考】 「従来の定型うつ」と「非定型うつ(新型うつ)」の違い
 
3.ストレスへの対処(セルフケア)   〈ストレス対処の知識と方法を学ぶ〉
(1)ストレスへの対処方法
(2)考え方を変える
      【ワーク】 否定的な考え方を肯定的な考え方で捉える
 
4.職場のコミュニケーション    〈互いに気持ちよく働ける職場環境を考える〉
(1)話すことの効果
(2)傾聴のポイント
(3)演習
      【ワーク】話を聴き、どのように働きかけ(声かけ)をするか考える
 
5.まとめ  〈研修を踏まえ、今日から実行することをまとめる〉
株式会社インソース 川畠 睦美 氏
公務員倫理(JKET)
より住民に信頼される職員となるよう、改めて公務員としての倫理観を醸成する。また、倫理観の高い職場風土の形成に率先して取り組めるようにする。

第1章 倫理とは
・公務員倫理を考えるに当たって
・あなたはどう行動しますか

第2章 公務員に求められる倫理
・公務員に寄せられる批判
・公務員の意識
・公務員に求められる倫理
・とるべき態度
・できないのは何故か

第3章 公務員に求められる規律
・服務規程では
・なぜ不祥事を起こすのか
・事例研究
・なぜ誘惑に負けるのか

第4章 実際の場面で
・ロールプレイ

第5章 望ましい職場風土の形成
・部下の告発
・高め合う規律、原点に立ち返って
・実践の決意

※JKET・・・人事院討議式研修「公務員倫理を考える」

 
内部講師(県内市町職員)
コミュニケーション 〜説得ではなく納得を得るための交渉術〜
  株式会社日本マネジメント協会(中部) 大部 美知子 氏

1.説得・交渉力の必要性を考える    【対話式講義、グループワーク】
1)研修目的を理解する
  ・交渉とは何か?
  ・過去の交渉体験 (成功例と失敗例)の振り返り (グループワーク)
  ・気付きの共有
2)個人目標の設定 (得たい成果の確認)
 
2.交渉の基本    【対話式講義】
1)交渉の流れ
  ・事前準備 →状況把握(傾聴) →合意への交渉 →クロージング
  ・納得した合意を得るための交渉のコツとは?
  〈対住民対応〉
  ・住民心理に配慮して、市町の対応に共感&理解を得る
  〈内部折衝〉
  ・自案のメリットを論理的&明瞭に伝える
 
3.合意を得る交渉術    【対話式講義、ペアワーク、ロールプレイング】
1)Win―Winの関係とは?
  ・信頼関係構築の効用
  ・傾聴の効果 〈合意確率を高める〉
  ・傾聴のポイント実習 (正対・アイコンタクト・共感を示す)
  ・実習&振り返り
 
4.表現力の高め方    【対話式講義、ペアワーク、ロールプレイング】
1)相手に伝わる意見や気持ちの伝え方
  ・言いにくいことを頼む話法 (クッション言葉+依頼形など)
  ・「No」といって断る話法 (アサーションスキルの活用)
  ・わかりやすく状況を説明する話法 (ロジカルシンキングの活用)
  ・心理戦術の把握 (Yes setなど)
  ・実習&振り返り
 
5.実行宣言    【対話式講義】
  ・まとめ&質疑応答
  ・行動プラン作成&実行宣言
リーダーシップ 〜リーダーシップは学習可能なスキル!あなたなりのリーダースタイルを見つけて鍛えよう!
 株式会社マネジメントサポート  喜多 朋子 氏

1.現任職員としての自分の役割、課題とは
  ・現任職員としての役割を踏まえた現在の自己課題
  ・多面的に考える中堅職員の役割の検討
 
2.職場の情報分析と仕事のプロセスの重要性
  ・教育ゲーム(Kゲーム)による模擬組織の体験 →振り返りディスカッション →解説
1)組織力を高めるための要因
 自分の立場と役割の遂行チェック
 職場のパイプ役としての機能発揮
 成果を生み出すチームワークと協働意識

2)仕事の質を高めるコミュニケーション
 職場の情報の伝わり方と情報の共有化
 仕事の質を高める報告・連絡・相談
 上下、水平へのリーダーシップの発揮
 
3.リーダーシップとは何か
  ・リーダーシップの定義
  ・リーダーシップを発揮するための基盤
  ・様々なリーダーシップのスタイルを理解する
  ・リーダーシップが求められる意味と組織目標との関わり
 
4.自治体・行政に求められるリーダーシップ像
  ・3年後、5年後に求められるリーダーシップ 〜管理監督者としての視点を養う〜
 
5.リーダーシップとは何か、リーダーシップ行動をイメージし実践する
1)モチベーションマネジメント
  ・動機づけ理論とリーダーシップ
  ・職員を鼓舞する、動機づけるためのリーダーシップ 
  ・多様な価値観の受け入れと統合のためのリーダーシップ 〜係全体の業務支援〜
 
2)リーダーとしてのコミュニケーションスキル
  ・「聴く」ことと「話す」こと
  ・後輩の学習を促進するためのリーダーシップ
 
6.まとめ・質疑応答
コーチング 〜信頼関係を育むコミュニケーションで、リーダーとして自信を持つ!〜
 株式会社マネジメントサポート  野々山 美紀 氏

1.オリエンテーション
  ・研修の概要周知とねらい
  ・グループリーダーとしての使命/人は、何によって動くのか
 
2.コーチングを活用した育成の目的(ポイント講義とロープレ)
1)コーチングの特長
  ・ティーチングとコーチングの違い
  ・指導内容に合わせた使い分け/能力に合わせた使い分け
2)指導の基本(ティーチング)を押さえる
  ・指示命令の出し方、報告のさせ方
  ・褒め方、叱り方のポイント
  ・メンバー・後輩との良好なコミュニケーションを維持するために
3)コーチング指導の考え方とポイント
  ・コーチングの手順を整理する
  ・コーチングのスキル
  「話をさせる」「聴く(アクティブリスニング)」「整理する」
  「質問する」「承認する」
  ・評価とフィードバック
4)コーチングを阻む要因分析
  ・「指導する時間がない」、「上司の理解が得られない」 他
 

○自己のコミュニケーションスタイルを分析(TA)する
3.自分の発言や行動が相手にどのような影響を及ぼすか
  ・自己のコミュニケーションスタイル分析(TA)
  ・コーチング指導の際に必要な自己理解と他者受容の考え方
 
○事例を活用したロールプレイング形式で練習
4.モチベーションと自立を促すコーチング指導法 〜事例演習とロープレ〜
1)目標設定と達成計画実行をサポートするための質問スキル
  ・現状への気づきと目標を明確にするための質問
  ・行動につながらない職員の方へのアプローチ
  ・新たな視点を持たせたいときのアプローチ
2)フィードバックスキル
  ・良い点は褒めて伸ばし、課題点は取り組みやすいような配慮を加えたフィードバック
  (伝える+指導する)の方法
  ・意欲を高め、主体的に取り組むための約束と勇気付け
3)双方尊重の表現方法 (伝え方・反応)
  ・関係をあきらめないための表現方法の工夫
  ・自他ともに認めた表現のための自己勘定把握と目的に合わせた表現の工夫
 
5.コーチング指導における効果と期待
 コーチング指導を成功させるには
 コーチング指導における自己目標と課題設定
 計画の立て方
 
6.まとめ
 明日からの取り組みのために
● 総括
受講者の主な感想【受講者数149名】
・公務員になって10年以上が経過し、日常業務を遂行するのとあわせて職場内全般を見渡す力、後輩を指導する力が求められてきたことを感じてきたが、今回の研修で何故中堅職員にそのようなことが求められ、どのように対処していくかを改めて学ぶ良い機会となった。
・研修全体を通して、それぞれの科目の目標が達成できただけでなく他の受講者の方との交流を通して、悩みを共有したり解決のヒントを教えていただいた。また、限られた時間の中でグループメンバーの意見をまとめ、発表する機会も多く、緊張しましたが、意見を引き出す、まとめる、発表する、全てに積極的取り組めた。
・今回の研修でのメンタルタフネスや公務員倫理はすでにできていると思っていたが、改めて研修を受けたことで、気付かされることが多かった。

【講師からのアドバイス】
「メンタルタフネス」
 セルフケアに関してはお伝えしたことを元に今一度自分がそれらを実施できているか、確認してみてください。また、私は関わる人同士でお互いの変化に気付きあうことが重要だと考えています。まずは、職場のコミュケーションを見直し、挨拶等のあたり前のコミュニケーションが取れているか確認して下さい。そして、「挨拶+α」。これを全員に心がけていただけると、変化が見られると考えます。是非実践してみてください。

「コミュニケーション」
 今回履修した交渉術は、自分の意見をどのように説得するかでなく、双方が納得できる合意を得るためのスキルです。仕事だけでなくプライベートでも応用できますので、是非ご活用ください。
 また、研修中にぜひマスターしていただきたい大切なポイントとして3つ紹介しました。1点目が、「はい」という返事をする際には口を縦にあけて明瞭な反応を示すこと。2点目が正しい傾聴を心がけること。3点目が相手にわかりやすく伝わるようにPREP法などの話法を使い分けることです。
 特に傾聴については、前週のメンタルタフネスと一部内容が重複しましたが、復習の際にそのときには理解していても時間の経過とともに記憶が薄れることを実感していただいたと思います。
 いつでも実践できる習慣のレベルになるには、当初は意識して行動することが大切です。研修のまとめに実行宣言していただいた各自の行動目標を是非実践してくださるようお願いします。

「リーダーシップ」
 リーダーシップは持って生まれた資質ではなく、自分のリーダーシップスタイルを知ることで誰にでも備えることができる力です。
 自己理解の分析で学んだリーダーシップスタイルを参考に、後輩は部下の意欲に働きかける言葉掛けや関わり方を実践してください。
 後輩や部下の成長はリーダーである皆様の成長の証となります。ヒューマンスキルの実践が、知識や情報、問題解決につながることと思います。

「コーチング」
 コーチングにおいて大切なポイントは、技法に走りすぎない点です。
 研修では、コーチングならではの傾聴、承認、質問のスキルをワークをとおして学びましたが、小手先の技法だけではコーチングは表面上の関わりだけでに終わり、成果をうみだす育成にはなりません。
 実際の職場でコーチングを活かすためには、2点大切なことがあります。
 1つ目は、上司や先輩としての心理的な体力づくりです。研修では、エゴグラム分析により自分自身の対人傾向を客観的に見ることができましたが、「自分で自分のことが分かっていなかった」現実を驚きを持って受け止めている方が多く見られました。コーチングにおいては、上司や先輩からの「自己開示」が相手に大きく影響します。「私はこのように思っている」と真摯な姿勢で関わることが相手の行動や意思の変容への刺激となります。そのため、自分自身を内観し、自分自身を客観的に分析できる姿勢が心理的な体力につながり、後輩や部下とも違和感なく向き合えるようになります。
 2つ目は、目の前の相手を受け入れることです。コーチングでは、自分と相手との違いをいったん受け入れることが大切です。相手が心を開いて本音トークをした際に、上司や先輩である自分自身は、必ずしも相手の話に共感できるわけではなく、疑問、違和感を持つ場面も多くあります。このような場面でも相手に対して評価をするのではなく、「いったん受け入れる」(あなたは私と違うが、あなたはそのような考えを持っている、と捉える)ことが重要なのです。そうしなければ、部下は上司や先輩の気に入る話ししかせず、本当の意味での「自分自身の意欲を行動に変える」ことができないからです。
 この2つのポイントを踏まえ、時間をかけながら人材育成に「コーチング」を活かしていただきたいと思います。
 また、コーチングは書籍で学ぶこともできますが、理論に根差した実践がなにより大切です。職場や職場以外での小さなコミュニケーションの場面でも取り入れていくことで力がついていきます。
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